こんなお悩みありませんか?
- 手首が痛む
- 手がこわばる感じがする
- 指が引っかかる感覚がある
- 手首が腫れている
- 指がしびれる感じがする
- 両手の指が完全に伸びない
当院では、患者さんの症状に応じて、X線検査(レントゲン)、超音波検査(エコー)、血液検査などを行い、必要な場合には提携医療機関でMRIやCTを実施し、痛みの原因を正確に診断いたします。
手首・手指の代表的な疾患
1:へバーデン結節、
ブシャール結節
手指の変形性関節症で、DIP関節(第一関節)に発生したものをへバーデン結節、PIP関節(第二関節)に発生したものをブシャール結節と言います。手指の変形性関節症の患者は女性92.3%、男性89.9%と報告されており、膝や腰椎に比べても圧倒的に高い発生率です。
原因
高齢、女性、家族歴、肥満、機械的ストレスが報告されています。その中でも重要な要素は年齢であり、50歳以上で急激に増加します。男性より女性が3.18倍発生しやすいと報告されています。
症状および検査
関節部の膨隆、屈曲拘縮、側方変異、腫脹、疼痛などの症状があります。レントゲンにて同部位の関節の変形を確認します。
治療
装具療法や運動療法等の非薬物治療、鎮痛剤などの薬物治療、ステロイド注射などの薬物治療を行います。最近では、おくの動注療法が選択されることも多くなってきています。
医師より
手指の疼痛で見逃してならないのは関節リウマチなどの自己免疫疾患です。自己免疫性疾患は不可逆性の変化を来たし、発見や治療が遅れることで変形が進み、元に戻ることはありません。関節リウマチを疑う際は必要な血液検査を行って専門医による診断が必要です。手指の変形、痛みがあれば、出来るだけ早く医療機関を受診して頂ければと思います。
2:母指CM関節症
手の変形性関節症の中で、母指(親指)の付け根に発生するものです。疼痛や腫脹、可動域制限をきたし、手の機能障害を招きます。中でも母指は手の機能に果たす役割が大きく、母指CM関節症では著しく機能障害が生じます。
原因
肥満や機械的な因子(職業上繰り返し単純作業を行う)が報告されています。
検査
レントゲンにて疼痛部位の変形を同定します。しかし、CM関節症の場合は疼痛とレントゲン検査での重症度が一致しないこともあります。治療
保存治療としては、鎮痛剤の内服、湿布などの外用剤、装具療法、ステロイドの関節内注射があります。装具療法はCM関節の制動を目的とし、他の関節の運動を妨げないようにしています。保存治療が無効の場合は、手術療法が考慮されます。靭帯再建術、関節固定術、関節形成術などがあります。
最近では、へバーデン結節、ブシャール結節と同様に、おくの動注療法が選択されることも多くなってきています。
3:ばね指炎
ばね指とは手指の酷使に伴い、屈筋腱と腱鞘、特に負荷のかかりやすいA1腱鞘の間に炎症が起き、疼痛を引き起こします。このような病態を狭窄性腱鞘炎といいます。炎症が慢性化するに従い、腱実質の腫脹+腱鞘の肥厚が生じ、腫大した腱実質が肥厚した腱鞘を通過する際に抵抗が増すことによって引っかかる病態をばね指と言います。40-60歳代、男女比が1:6で女性が多く、妊産婦にもしばしば発症し、女性ホルモンとの関与も指摘されています。母指が最も多く、続いて中指、環指の順で多いと言われています。
原因
一般的には手の使い過ぎ(酷使)によって滑膜で炎症が起きて発症すると言われています。また、背景として糖尿病や脂質異常症、関節リウマチとの関連性も指摘されています。女性の場合、妊娠中、産後、更年期など、ホルモンバランスが大きく変化する時期は、血行不良によって腱鞘が狭窄するため、ばね指を発症するリスクが高くなると言われています。
症状および検査
指が痛くて動かしづらい、物が握れない、指がカクカクするという症状が多いです。手の腱鞘の狭窄部位(A1 pully)の圧痛が特徴的です。触診で指の痛みや腫れ、ばね現象(弾発現象)の有無を確認して診断します。超音波検査で腱鞘の肥厚を確認することもあります。また、骨の異常の有無や他の疾患との鑑別目的に、レントゲン検査やMRI検査を行うこともあります。
治療
薬物加療として炎症に対する非ステロイド性消炎鎮痛薬、湿布などを使用します。日常生活への支障が大きくなっている場合、ばね現象を繰り返している場合には、ステロイド注射が有効です。高い即効性を得た上で、無理なくリハビリを進めます。短期間での繰り返しのステロイド注射は腱を脆くさせ、腱断裂のリスクを増やしてしまう為、施行出来ません。複数回注射での無効例は、手術療法を検討します。
4:手根管症候群
手根管症候群は、正中神経が圧迫されて痺れや麻痺を生じる疾患です。手指の痺れを生じて整形外科を受診する最も一般的で頻度が高い疾患です。手首にある手根骨と横手根靭帯で囲まれたトンネル(図)を手根管と呼び、その中を走る正中神経がさまざまな原因により絞扼されている状態です。
原因
妊娠、アミロイドーシス、橈骨遠位端骨折などさまざまだが、原因のはっきしない特発性が最も多いです。40歳以降の女性に多い傾向があります。
症状
手のひら、親指から薬指の半分にしびれ感、進行するとつまみ動作、対立動作に支障がでてきます。
治療
症状が軽度のものは、ビタミンB12製剤の内服や安静目的に装具固定を行います。保存治療で改善しない場合は、手根管開放術などの手術を行います。
5:ドケルバン病
手関節の長母指外転筋腱と短母指伸筋腱が通る部屋(第一背側区画)が狭いことによって起きる腱鞘炎(狭窄性腱鞘炎)の事を指します。発症は50歳前後と、妊娠出産時期の女性に多い傾向にあります。
原因
手の酷使などの慢性機械刺激が本疾患の原因と考えられており、日常的に手を使う中年の女性に多く、男女比は1:7と報告されています
症状および検査
手を動かした時に親指側に痛みがあります。物を掴む、タオルを絞るなどの動作が困難になります。診察にて患者さんの母指を握ったまま、手関節を尺屈させる方向に牽引すると痛みが出る(フィンケルスタインテスト:図)が陽性となります。
治療
まずは安静や装具での固定、腱が通る腱鞘内へのステロイド治療があります。保存治療で治らない時は、手術治療を行います。